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姫の夜は

おのが盛りを
知りたる花は
色香と艶を
残しつつ

次の季節へ
橋渡し
何も言わずに
はらはらと
散り逝く
定めをまっている


わが密吸うのは
どこにいるぞや
香のかほりで
わらわへ、わらわへ

肌を重ねて
貝合わせ
そなたがわらわと
合わぬなら
ぬらりと笑い
食いちぎりましょか

うふふ
この世に鬼なぞ
おりはせぬ
ぽんぽん
ぽんぽん
手の鳴る方へ

ほうら重ねて
ご覧なさい
底なしの泉に
ズブリと入れて
そなたは
どちらにゆくのやら



花は実となり
種となり
次の世へと
命を繋ぐ

渡されし花も
栄華過ぎれば
はらはらはらと
散り逝く定め

秘するおもひに
この身をささぐ
わらわが定めた
胸のうち

香を焚きつつ
御簾の中
待ち人までど
寄りはせぬ
今宵も
そなたを想いつつ
肌を合わせて
おたわむれ


道に迷うた
わらしべひとり
ほらほら
ほらほら
いらっしゃい
オノコであれば
同じゆえ
待ち人想いて
貝合わせ

ねとりとした
泉に沈みなされ
ぽんぽん
ぽんぽん
手の鳴る方へ

ぼうやよゐこ
褒めてつかわす
ゆっくり明けまで
遊びませう
口に含みて
味わいましょね

淡雪のごとく
はかなき声で
わらわにしがみついておれ

桜舞う夜は
うす寒く
ひと肌恋しく
なるでしょう

今宵は
わらわがそなたの
母に
子守唄を
授けましょ

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